診療・治療
2022/7/15(金)
一般的に男女の性別はほぼ半々であるというのは言うまでもありませんが、3人とも男兄弟や、3人姉妹といった男女比に偏りのある家庭って割といませんか?
私自身が3人兄弟なのでそう思うのかもしれませんが、友人には5人とも男兄弟という友人もいました。
5人兄弟の場合、男の子が生まれる確率を1/2とすると、1/2^5で1/32の確率ですから、やはり偶然ではなく体質などあるのかもしれません。
そんな雑学的な疑問を科学的に調査した研究がありましたのでご紹介したいと思います。
これは、母親のある身体的特徴から子供の性別に差があるのかというものです。
Does the Mother or Father Determine the Offspring Sex Ratio? Investigating the Relationship between Maternal Digit Ratio and Offspring Sex Ratio.
(母親、父親によって子供の性別は決まる?母親の指の長さと子供の性別の関係を調べてみた)
なんだかちょっと軽いノリのタイトルですが、これは2015年に韓国のKim氏らがPlos One誌に発表した論文です。
さて、この研究の柱となっているDigid ratio(指長比)とは、人差し指と薬指の長さの比です。
上の写真で示すように、右手の指の付け根のしわの部分から先までの長さを測って、その長さの比を調査しています。この指長比は実は割と有名な話で胎児が母体内で多くの男性ホルモン(テストステロン)を浴びていると2D/4D比が小さくなると言われています。
この様な知見から、本研究では60歳未満の508人(男性257人、女性251人)の韓国人を対象として指長比と子供の性別を調べています。
さて、どのような結果となったでしょう。
上の表は調査対象となった方のうち女性の指長比と子供の性別の関係を解析したものです。
指長比が高いほど息子の割合が減り、娘の割合が増えている事がわかります。
相関係数Rはかなり低く、これだけでは相関は低そうに見えますが、これは子供の数が1,2,3,4と非連続的(小数点以下がない)に推移する数であるからと考えられます。
そのため、相関係数の絶対値よりp値で判断する方が良いと思われます。
続いて、子供の性別比をエンドポイントとして重回帰分析を行った結果が上の表になります。
これを見ると、子供の性別比と関連しているのは母親の指長比のみであり、母親の指長比が大きいほど女の子が生まれやすいという結果になっています。
最後に、女性の指長比0.95を基準として子供の性別を比べたところ、指長比が0.95以下の方は0.95未満の方と比べて、1.17倍男の子が生まれやすいという結果でした(p=0.046)。
ということで結論としては、
という結果でした。
ご自身が3人兄弟、3人姉妹という方はお母さんの手を見せてもらうと面白いかもしれませんね。
(文責:医師部門 江夏徳寿、理事長 塩谷雅英)