英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

胚培養スタッフより

はなぶさコラムス

当院胚培養スタッフからお届けするコラムです。一般の治療ではなかなか見えにくい部分をお届けしています。

精子凍結について(2009年11月)

当院では体外受精、人工授精の当日にご主人の都合がつかない場合、化学療法や放射線治療に伴う副作用により造精機能の低下が予想される場合、精子の数が非常に少ない方などに対しては、精子の凍結保存をおすすめしております。この精子の凍結保存は現在の不妊治療にとって必要不可欠な技術となっていますが、細胞は凍結・融解によりさまざまなダメージを受けることが分かっております。このダメージにより細胞は元通りになることが非常に困難となります。
ヒトの精子は成熟の過程で細胞内部にある水分の多くを失うため、凍結融解によるダメージを受けにくいと言われていますが、やはり少なからずダメージは受けてしまいます。この凍結融解時に精子が受けるダメージをいかに抑制するかは精子凍結保存技術において非常に重要な意味を持っています。そのため施設により方法は異なりますが、精子へのダメージをできるだけ少なくするために、精子凍結保護剤の比較試験、及び精子凍結保存容器の工夫などを行っているというのが現状です。
当院は以前に、臓器や細胞等を−5℃でも凍らない状態(過冷却状態;物質が氷結点を越えても凝固しない状態)で保存できる過冷却装置『プロケプト』での精子保存試験を行いました。これは何故かというと、過冷却保存をする事で臓器の基礎代謝が37℃に比べ、 −4℃では1/17になる。またヒトの肺組織において4℃では上皮・内皮組織に損傷が見られたが、−5℃では損傷が見られなかった等、再生・移植医療領域においては過冷却保存の有用性が報告されていたためです。このような報告があったため過冷却装置による精子保存試験を行いましたが、今回の実験では精子に対する過冷却保存の確かな有効性は確認できませんでした。しかしながら、過冷却保存技術の有効性には多くの報告があるため、今後は精子保存液・精子保存容器の工夫・開発等がすすんでいけば近い将来、精子保存に対し過冷却技術が画期的な方法となり得る可能性が考えられました。

図1、 当院での精子凍結保護剤(Test Yolk Buffer : TYB)及び精子凍結保存容器(極細ストロー菅)

labo091106-1.jpg

図2、過冷却装置『プロケプト』

labo091106-2.jpg

labo091106-3.jpg

胚培養部門 古橋孝祐

診察ご予約は
こちら
さんのみや診療予約
loading