英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

胚培養スタッフより

はなぶさコラムス

当院胚培養スタッフからお届けするコラムです。一般の治療ではなかなか見えにくい部分をお届けしています。

Piezo(圧電素子:piezo electric elements)を使用した顕微授精(Piezo-ICSI)をご存じですか?(2016年3月)

【Piezo-ICSIとは】

これまでのヒト顕微授精(ICSI)では、injection needleで卵子の透明帯を押し破り(図1)、卵細胞質膜は吸引して穿破する(図3)という方法で、卵細胞質内に精子を注入しています。Piezo- ICSIでは微細な振動を用いて卵細胞質を変形させずに透明帯に穴をあけ(図2)、卵細胞質膜を吸引することなくパルスを使用して破り(図4)、卵細胞質 内に精子を注入します。

従来のICSI                         Piezo-ICSI
透明帯の穿刺
図1 図1.c-ICSI透明体穿刺図2図2.ピエゾ透明帯穿刺

細胞質膜の穿刺
図3図3.c-ICSI細胞質膜  図4図4.ピエゾ細胞質膜

このようなことからPiezo-ICSIは従来のICSIより卵子に優しく、卵子が脆弱になっており、顕微授精に耐えられなくなっている症例に有効であるという報告があります。
当院での成績をご紹介します。
全体として受精率、ICSI後変性率に有意な差はありませんでしたが(図5)、42歳以上の方において、胚盤胞発生率に差があり(図6)、42歳以上の方にはpiezo-ICSIが有効であるという結果となりました。

図5.全体成績比較
図5

図6.42歳以上成績比較
図6

このような結果や過去の報告などから当院では高齢の方や、顕微授精に耐えられず変性してしまう卵子が多い方などにお勧めさせて頂く場合がございます。

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