英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第16回 日本不妊カウンセリング学会学術集会

  • 不妊治療後の妊婦への妊娠中期セミナーを通して
  • 2017年6月2日(金) ニッショーホール(東京都)
  • 第16回 日本不妊カウンセリング学会学術集会
  • ○藤井美喜、岸野志津子、オンビルギン操、苔口昭次、塩谷雅英

【目的】

主産施設をもたない当クリニックでは、妊婦の不安を軽減するために、7年前から妊娠判定陽性者を対象に妊娠初期セミナーを開催してきた。実施していく中で、妊娠初期セミナー受講者から妊娠中期にもセミナー開催の要望が多くあり、1年半前から妊娠13週~27週の妊婦を対象に妊娠中期セミナーを開催することになった。そこで、妊娠中期セミナーの感想と妊婦の思いを知るために受講者を対象にアンケートを実施した。

 

【方法】

方法は、2014年9月~2016年12月に妊娠中期セミナーを受講した妊婦208名から回答を得た(回収率90.0%)。セミナー終了後アンケートの主旨を説明し、同意を得た上でお渡し、無記名にて当日アンケートBOXにて回収した。

 

【結果】

対象の概要について、妊娠週数は平均19.2週(±4.3週)、年齢は平均36.1歳(±4.6歳)、妊娠に至った方法は「ART」165名(79.3%)、「タイミング治療」27名(13.0%)、「人工授精」16名(7.7%)であった。妊娠初期セミナー受講者は168名(80.8%)であった。教室の感想は、「大変役に立った」191名(91.8%)、「少し役に立った」16名(7.7%)、「あまり役に立たなかった」1名(0.5%)、全く役に立たなかった人はいなかった。最も役に立った内容は「エクササイズ」91名、次に「妊娠中の生活」45名、「妊婦同志の交流」44名、「胎児の成長」14名であった。エクササイズについて、自由記載の内容から「家にずっと引きこもっていました。これからは動いていこうと思いました」「久しぶりに体を動かしたので気持ちよかったです」などの意見があった。

「妊婦の思い」については「母親になる充実感があるか」98.1%、「夫婦で出産育児について話し合っているか」94.7%であり、今回の対象妊婦と異なるが、以前実施した初期セミナー時のアンケートとほぼ同様の結果であった。「胎児の成長が楽しみ」は100%と初期セミナー時92.1%のアンケート結果より増えていた(p<0.001)。「やっていけるか不安か」という質問に対して初期セミナー時65.7%に対して、中期セミナー時も62.5%であった。「妊娠初期と比較して不安感が軽減したか」という質問に対しては、「不安が軽減した」187名(89.9%)、「不安は軽減していない」21名(10.1%)であった。

妊娠初期と変化した内容は、主に【胎動や腹部増大による母親になる充実感】【胎児の成長や流産のリスク減による不安の軽減】【つわり症状の軽減】であった。中期セミナーの感想は、「同じような同期の方の話を聞けて自分もがんばろうと思いました」「初期セミナーでも感じましたが、不安なのは自分だけではないということがわかり、とても安心しました」などの意見があった。

 

【考察】

教室の感想については、多くの妊婦が「大変役に立った」91.8%と返答していたことから内容的に満足できるものであると考える。最も役に立った内容は「エクササイズ」が多かった。自由記載の内容から「家にずっとひきこもっていました。これからは動いていこうと思いました」など妊娠初期から流産を気にして安定期に入ってもやや安静にしている傾向があるため、気分転換になりエクササイズを選択した人が多かったと思われる。

「母親になる充実感があるか」「胎児の成長が楽しみか」「夫婦で出産育児について話し合っているか」という質問に対して、妊娠初期も妊娠中期もいずれも90%以上であった。特に「胎児の成長が楽しみ」という項目が増えていたことから、中期になりより胎児に目が向けられていると思われる。

「妊娠初期を比較し不安感が軽減したか」という質問に対しては、「不安が軽減した」89.9%とほとんどの妊婦は中期になり不安が軽減していた。しかし、「やっていけるか不安か」という質問に対して妊娠初期セミナー時65.7%に対して中期セミナー時も62.5%あったことから、中期になっても今後の経過について不安が継続していたり、新たな不安が出てきたと思われる。

妊娠初期と変化した内容については、主に【胎動や腹部増大による母親になる充実感】【胎児の成長や流産のリスク減による不安の軽減】【つわり症状の軽減】で、妊娠中期に入り心身の安定が増していた。さらにセミナーを通して、妊娠を肯定し、胎児への愛着形成を促進していけるような関りを続けていきたい。

また、中期セミナーの感想から、他に参加されている方の話を聞いて前向きになったり、他の妊婦と同じような不安を抱いているという共感をもつことで、プラスの方向に考えることができていた。今後も妊婦同志の交流を通して、不安な思いを共感しつつ、前向きに過ごしていけるように、今後も働きかけていきたい。

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