診療・治療
2015年の受精着床学会において、不妊治療を受けた妊婦が自己のリスク因子と合わせて適切に出産施設を選択されたかどうか知るためにアンケートの結果を報告したところ、高リスクにも関わらず半数近くの妊婦が産科クリニックを選択していた。その後、出産された方がどのような周産期予後になったのか調査し、妊娠リスクスコアと比較検討した。
2014年2月~2015年3月に出産施設非併設である当クリニックで実施している妊娠初期セミナーを受講し、出産施設を決めている妊婦を対象にアンケートを実施した。2004年に厚生労働省研究班が作成した「初期妊娠リスク自己評価」を含めたアンケート用紙を配布回収し、リスク評価した。その後その患者からの出産後報告や出産施設の返書より、周産期予後と妊娠リスク評価を比較検討した。
妊娠初期アンケート回収は392例に対し、出産報告は244例(62.2%)であった。出産時年齢は平均36.8歳、出産週数は平均38.9週、出生児体重は平均3051gであった。分娩様式は経腟分娩59.0%、帝王切開40.6%、IUFD0.4%であった。病院(NICUあり)で出産した83.1%の人が高リスク群で、病院(NICUなし)、産科クリニックの人より多く認めた。しかし、産科クリニックで出産した人でも約74.7%の人が高リスク群であった。帝王切開の人は高リスク群44.0%が最も多く、中リスク群26.8%、低リスク群33.3%であった。早産の人は中リスク群9.8%、高リスク群が5.8%に対して低リスク群は0%であった。低出生体重児の人は低リスク群、中リスク群、高リスク群の比率は変わらなかった。
高リスク群に属するほど帝王切開が多くみられたこと、早産の人は低リスク群より中リスク群、高リスク群の方が多くみられたことから、リスクの高いほど緊急に対応できる病院を選択する必要がある。