英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第37回日本アンドロロジー学会

  • 精子の運動機能解析結果に基づいたARTにおける受精率予測式の樹立
  • 2018年6月15日(金)~16日(土)ラ・スイート神戸オーシャンズガーデン
  • 第37回日本アンドロロジー学会
  • 横田梨恵、江夏徳寿、古橋孝祐、岸加奈子、松田彩花、辻優大、大月純子、松本由紀子、

    苔口昭次、塩谷雅英

【目的】

不妊治療における精液検査において、精子濃度・運動率などが評価の対象とされるが、精子の運動の質についてはあまり評価されていないのが現状である。今回我々は、精子の運動の質的評価ができるSMAS(Sperm Motility Analysis System)を用い解析した精液所見と、ARTにおける受精率との関係を解析することで、受精に関与する因子を同定し、それらの因子を用いてARTの受精率を予測する予測式の樹立を目指した。

【対象及び方法】

当院にて2016年6月~10月にIVFを行った症例の内、SMASにて精液検査を行った898周期を検討対象とし、得られた精液所見と夫婦の年齢、血中AMH値、採卵数、ART回数を加えて解析を行った。はじめに単変量解析にて各因子と受精率との相関を解析した。第1段階として決定係数R>0.3をもって有意な因子とし、一部の因子については対数変換後の結果を用いた。第2段階として、決定係数では有意な相関を認めないと考えられた因子について閾値を設定し、閾値前後での受精率をカイ二乗検定で解析した。続いて、単変量解析にて有意と考えられた因子を用いて重回帰分析を行った。因子の選択には変数増加法を用い、得られた因子をもとに回帰係数を求め受精率予測式を作成した。同様の検討をICSI症例についても行い、受精率予測式の作成を試みた。得られた予測式の正確性を検討するため、2016年11月~2017年3月にIVFを行った1013周期のデータを用いて前向き検討を行った。

【結果】

単変量解析において、直線速度、運動率、精子濃度、高速運動精子濃度、夫年齢、頭部振動数および対数変換後の曲線速度、総運動精子数、SMV、採卵数において受精率と有意な相関を認めた。これらの因子を用いた重回帰分析では、採卵数、SMV、曲線速度、頭部振動数が受精率を予測する独立した因子と考えられ、これに回帰係数をかけ合わせ予測式=44.65 – 15.56*log(eggs) + 16.23*logSMV + 4.34*VCL + 5.0*FLHという式を得た。前向き検討では、予測式で得られた予測値と実際の受精率で高い相関を確認できた(P<0.001;ピアソンの相関係数検定)。ICSI症例では、重回帰分析にて受精率と有意な相関を確認できる因子は存在せず、予測式は成立しなかった。

【考察】

IVFにおいて、受精率は精子の数だけでなく運動の質も関与する事が確認された。精液所見と採卵数より求めた受精率予測式はIVFの受精率を予測する指標として有用であると考えられた。一方でICSIの受精率は精液所見に依らないと考えられた。このことは、IVFで受精の可能性が低いと考えられた症例でもICSIなら受精できるという事を示唆しており、予測式の運用に意義を持つと考えられた。

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