英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第62回日本卵子学会学術集会

  • 二重緩衝剤を特徴とする凍結融解液を用いた胚凍結融解後の成績
  • 2021年5月29日~30日 とかちプラザ(オンデマンド開催)
  • 第62回日本卵子学会学術集会
  • 白岩優綺、横田梨恵、古橋孝祐、岩﨑利郎、伊藤宏一、水澤友利、岡本恵理、苔口昭次、

    塩谷雅英

【目的】

胚の凍結・融解にあたり、当院では緩衝剤としてHEPES/MOPSを用いた凍結・融解液(以下HM)を自家調整して使用している。一方、Vit Kit-Nx(FUJIFILM)(以下Nx)はHEPES/MOPSの二重緩衝剤に加えて、耐凍剤としてトレハロースとDextran serum supplementを含有しており、よりよい治療成績を期待できる可能性がある。そこで今回、NxとHMの治療成績を比較検討したので報告する。

【方法】

2020年3月~11月に単一胚盤胞融解移植を行った1039周期を対象とし、HMを用いた794周期(HM群)と、Nxを用いた245周期(NX群)において、融解後2~4時間の胚の状態、および、化学妊娠率、臨床妊娠率、流産率を比較した。また、胚のグレードはGardner分類に基づいて評価した。採卵時平均年齢および平均ET回数はそれぞれ、HM群35.3±4.2歳、2.1±2.0回、Nx群35.3±4.6歳、1.8±1.5回であり、両群に有意差は認められなかった。

【結果】

融解後の胚生存率および一部変性率は、それぞれHM群99.9%、0.6%、Nx群100.0%、0.0%であり、両群に有意な差は認めなかった。また、融解後前後胚のグレード分類についても差を認めなかった。化学妊娠率、臨床妊娠率、流産率はそれぞれ、HM群55.4%(437/789)、38.9%(306/786)、17.3%(53/306)、Nx群62.5%(80/128)、41.4%(53/128)、13.2%(7/53)であり、両群に有意差は認められなかった。

【考察】

HM群とNx群において、凍結融解後の胚の回復予後と妊娠成績には有意な差は認められなかった。しかしながら、市販の凍結融解液を利用することで、エンドトキシン測定や試用試験、滅菌作業などのクオリティコントロールに費やすラボワークの負担を軽減することが可能となった。

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