研究開発・学会発表

10月のおはな

第10回 日本IVF学会 日本臨床エンブリオロジスト学会

学会名

第10回 日本IVF学会 日本臨床エンブリオロジスト学会

日・場所

平成19年9月29日~30日 パシフィコ横浜

タイトル

単一胚盤胞移植と二個胚盤胞移植の適応基準の検討

発表者名

橋本 洋美、後藤 栄、水田 真平、泉 陽子、松永 雅美、苔口 昭次、塩谷 雅英 
英(はなぶさ)ウィメンズクリニック

【発表の概要】

【目的】多胎予防を目的として、単一胚盤胞移植(SBT)と二個胚盤胞移植(DBT)の適応基準を設定した。

【方法】2003年1月~2007年5月に凍結融解胚を用いて自然排卵周期またはホルモン調節周期にてSBTを実施した753周期とDBT 301周期の計1054周期を対象とした。年齢、ART回数、移植胚のグレード別に妊娠率と多胎率を後方視的に検討した。

【結果】年齢区分別の妊娠率は、
20~29歳;SBT:72.7%(56/77),DBT:77.7%(21/27)、
30~34歳; SBT:53.4%(149/279), DBT:59.6%(62/104)、
35~36歳; SBT:47.2%(67/142), DBT:48.0%(24/50)、
37~38歳;SBT:43.0%(49/114),DBT:51.1%(23/45)、
39~40歳;SBT:27.4%(20/73),DBT:45.7%(21/46)、
41~42歳;SBT:25.0%(11/44),DBT:25.0%(5/20)、
43歳以上;SBT:25.0%(6/24),DBT:11.1%(1/9)であった。DBTの妊娠率はSBTと比較して39歳以上で有意に高率であった。38歳以下ではDBTとSBTの妊娠率に有意差はなかった。DBT の多胎率は年齢区分順に23.8%、27.4%、16.7%、17.4%、14.3%、0%、0%であった。ART回数別妊娠率は、SBTとDBTでそれぞれ1回目52.3%(268/512)と59.2%(103/174)、2回目46.7%(56/120)と47.4%(27/57)、3回目 44.2%(19/43)と36.8%(7/19)、4回以上19.2%(15/78)と39.2%(20/51)であり、既往ART回数4回以上の群ではDBTの妊娠率はSBTと比較して有意に高率となった。DBTの多胎率はART回数順に26.2%、3.7%、42.9%、10%であり、既往ART回数4回以上においても多胎が10%に認められた。Day5胚盤胞グレード別(Gardner分類)の妊娠率は、SBTとDBTでそれぞれグレード 1:23.3%(10/43)と23.3%(4/17)、グレード2:33.9%(21/62)と47.8%(11/23)、グレード3:47.2% (92/195)と56.6%(43/76)、グレード4:66.8%(125/187)と60.7%(68/112)、グレード5:65.0%(52 /80)と56.5%(13/23)、グレード6:61.5%(8/13)と66.7%(4/6)であり、グレード別の検討ではSBTとDBTで妊娠率に有意差はなかった。DBTの多胎率はグレード順に25.0%、9.1%、14.0%、22.1%、53.9%、25.0%であった。

【結論】胚盤胞のグレードに関わらず、年齢が38歳以下又は既往ART回数3回以下ではSBTとDBTで妊娠率に有意差が無く、多胎予防の観点からSBTを実施すべきであることが示唆された。39歳以上の妊娠率はDBTでSBTと比較して有意に高率であったが、DBTでは多胎を14.3%に認めたことから、やはり DBTの実施には慎重になる必要があることが示唆された。41歳以上ではDBTでも多胎は無かったことから、DBTを実施しても良いと考えられた。同様に既往ART回数4回以上の群の妊娠率はDBTで有意に高率であったが、多胎率が10%と決して低いものでは無く、既往ART回数が4回以上でもDBTの実施には慎重になる必要性が示唆された。