研究開発・学会発表

2月のおはな

第11回 日本IVF学会 

学会名

第11回 日本IVF学会 

日・場所

平成20年10月11日~12日 大阪国際会議場3階イベントホール

タイトル

2種類の培養液を用いた培養成績の検討

発表者名

角本 知世、後藤 栄、橋本 洋美、北風 桃子、苔口 昭次、塩谷 雅英
英ウィメンズクリニック

【発表の概要】

【目的】近年、初期胚培養から後期胚培養にかけて同一組成で培養を行うSingle medium によって良好な培養成績が得られたとの報告が散見される。良好な胚を得ることは、妊娠の成功に多大な影響を及ぼすことから、ARTにおいて培養液の選択は重要な課題の一つである。そこで今回、2種類の Single medium (Global MediumとSingle Step Medium)の培養成績を比較するため、分割率、分割期良好胚率、胚盤胞発生率および良好胚盤胞率について検討を行った。

【方法】2008 年6月に採卵を行い、受精卵が4個以上得られた47症例を対象とした。Day0 ̄Day1までは Universal IVF Medium (Medicult)を用い、Day1以降、得られた受精卵をランダムにA群、B群の2つに分け、A群ではGlobal Medium (LifeGlobal社)、B群ではSingle Step Medium (Irvine Scientific 社 ) を用いてそれぞれ培養を行った 。添加血清は 、Global Medium には Human Serum Albumine を、Single Step Medium にはSerum Substitute Supplementを用いた。

【成績】A 群とB 群において分割率はそれぞれ 99.1 % ( 209/211 ) 、97.2%(171/176)、分割期良好胚率は75.1% (157/209)、73.7% (126/171)、継続培養胚あたりのDay5における胚盤胞発生率は66.9% (81/121)、58.2% (64/110)で有意差を認めなかった。一方、Day5における良好胚盤胞率は65.4% (53/81)、48.4% (31/64)、継続培養胚あたりのDay 5 とDay 6 における胚盤胞発生率は77.7 % ( 94/121 ) 、66.4% ( 73/110)( p<0.05 ) でA群が有意に高率であった。Day5 とDay6における良好胚盤胞率は56.4% (53/94)、43.8% (32/73)で有意差は認めなかった。

【結論】今回の検討において、Global Medium は Single Step Medium と比較して、高い胚盤胞発生率を得ることができることが示唆された。

【考察】今回用いた2種類の培養液は 、Global Medium には Glycyl-glutamine が含まれているのに対し、Single Step Medium には Alanyl-glutamineとTaurineが含まれているという点等において組成の違いが見られる。Glycyl-glutamine添加培養液は、Alanyl-glutamine添加培養液と比較し、内細胞塊や、栄養外胚葉の細胞数が多くなることや、胚盤胞の発生速度が早いなどの報告もあり、これらの培養液の組成の違いが培養成績に差をもたらした一因である可能性が考えられた。