英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第49回 日本哺乳動物卵子学会

  • Sperm Motility Index(SMI)によるsplit ICSIの適応基準
  • 平成20年5月17日~18日 名古屋国際会議場
  • 第49回 日本哺乳動物卵子学会
  • 北風 桃子、後藤 栄、橋本 洋美、松永 雅美、苔口 昭次、塩谷 雅英
    英ウィメンズクリニック

【発表の概要】

【目的】以前我々はsplit ICSIの適応基準の検討を行い、makler counting chamberを用いた原精液所見にて精子濃度2000万/ml未満又は精子運動率20%未満又は運動精子数1000万/ml未満の症例はsplit ICSIの対象となることを報告した1)。しかしその後、split ICSI適応基準に該当せずIVFを行った症例の中に50%以下の受精率となってしまう症例が13.5%存在することが判明した。そこでSperm Quality Analyzer-V(SQA-V)を用いて測定したSperm Motility Index(SMI)をsplit ICSIの選択基準の項目に加えることが有用かどうかを後方視的に検討した。

【方法】split ICSI適応基準を満たさなかったためIVFを施行した74症例を対象とした。SQA-Vを用いて原精液のSMIを測定し、原精液調整後媒精を施行した。原精液SMIを50未満(A群)、50以上100未満(B群)、100以上150未満(C群)、150以上200未満(D群)および200以上(E群)の 5群に分類し、それらの受精率、分割率および胚盤胞到達率によりsplit ICSIの適応基準を検討した。

【結果】受精率はA群 53.3%(8/15)、B群 85.5%(53/62)、C群88.7%(47/53)、D群93.1%(42/46)、E群81.9%(100/120)であり、A群が他群と比較して有意に低率であった。B群、C群、D群およびE群の間では有意差は認められなかった(図1)。受精卵あたりの分割率は、A群 100%(8/8)、B群 83.0%(44/53)、C群 87.2%(41/47)、D群85.7%(36/42)、E群96.0%(96/100)であり各群間で有意差はみとめなかった。継続培養胚あたりの胚盤胞到達率はA群 50.0%(2/4)、B群50.0%(16/32)、C群63.3%(19/30)、D群71.4%(20/28)、E群61.8%(47/76)であり各群間で有意差はみとめなかった。

【結論】makler counting chamberを用いた当院のsplit ICSIの適応基準(精子濃度2000万/ml未満又は運動率20%未満又は運動精子数1000万/ml未満)に該当しない症例であっても、SMIが50 未満であればIVFでの受精率は有意に低下するため、split ICSIを考慮すべきであることが示唆された。

【参考文献】1) 橋本洋美・後藤栄・坪内美紀・泉陽子・吉村由香理・笠原優子・塩谷雅英, J. Mamm. Ova Res. Vol. 21,209-213 (2004)

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