研究開発・学会発表

10月のおはな

第53回 日本哺乳動物卵子学会

学会名

第53回 日本哺乳動物卵子学会

日・場所

平成24年5月26日(土)、27日(日) 千里ライフサイエンスセンター

タイトル

当院で実施している胚培養士外来について

発表者名

古橋孝祐・片岡信彦・橋本洋美・片田雄也・角本知世・稲飯健太郎・十倉陽子・山田聡・

緒方誠司・水澤友利・松本由紀子・岡本恵理・苔口昭次・塩谷雅英

英ウィメンズクリニック

 【発表の概要】

 

【目的】

 

患者に配偶子及び受精卵の情報を提供することは極めて重要である一方で、配偶子及び受精卵を扱う胚培養士が直接患者に説明する機会は少ない。当院では昨年6月に胚培養士が直接患者に説明する場として培養士外来を開設した。今回、当院の胚培養士外来の現状と問題点を考察したので報告する。

 

【方法】

20116月より週4回完全予約制で、入職4年目以降の10名の胚培養士が胚培養士外来を担当している。201110月~201112月に胚培養士外来を訪れたのは60組であった。この60組の患者を対象とし、①受診した患者の内訳、②受診患者の年齢・採卵回数・培養士外来受診回数、③外来所要時間、④具体的な質問内容、⑤外来時における患者の反応、⑥患者の要望に答えられたかどうか等について集計し検討した。

【結果】

 

①受診患者の内訳は、妻のみ56.7%(34/60)、夫婦41.7%(25/60)、夫のみ1.7%(1/60)であった。②外来を受診した妻の平均年齢(±SD)37.6±5.0歳、平均採卵回数(±SD)3.7±6.5回、平均胚培養士外来受診回数(±SD)1.1±0.4回であった。③外来の平均所要時間は、妻のみ41.3±18.4分、ご夫婦41.7±13.2分、夫のみ20±0分であり、全体の平均所要時間は41.1±16.4分であった。外来中に受けた④具体的な質問内容については、A:受精卵の状態についての質問が43.1%(44/102)と最も多く、次にB:今後の治療について17.6%(18/102)更に、C:過去の治療歴について、9.8%(10/102)D:精液所見についての質問が9.8%(10/102)であった。⑤外来時における患者の反応は、患者が自身の治療内容をよく理解していると考えられたのが85.0%(51/60)であり、まずまず理解していると考えられたのが15.0%(9/60)であった。⑥患者の要望に「十分に答えられた」が73.3%(44/60)、「まずまず答えられた」のが23.3%(14/60)、「あまり答えられなかった」が3.3%(2/60)であった。なかには、反復して不成功のため、今後の治療について強い不安を訴える患者もあった。

 

【考察】

培養士外来では、患者の要望に「十分に答えられた」は73%にとどまり、外来担当培養士のスキルの向上が必要であることが判明した。特に受精が起こらなかった症例や、胚発生不良例、採卵後移植に至らなかった症例、反復不成功例の説明において、患者が十分に納得できる外来を行う事の困難さが浮かび上がった。

しかしながら、胚培養士から直接患者に情報提供をする機会を設けることは、患者が実際に配偶子及び受精卵を扱う培養士と接する良い機会となっている。また培養士にとっては、普段患者と接する機会が少なく、機械的に精子・卵子を操作する感覚に陥ってしまいがちだが、自分達が操作している精子・卵子の背景には、子供が欲しいという患者の切実な思いがあるということを再認識する良い機会となり、胚培養士として仕事をする上で、モチベーションの向上にも繋がるものと考えられた。今後、さらに技術・知識の向上につとめ、受診された方を対象にアンケートを実施などして、より満足度の高い胚培養士外来を行って行きたいと考えている。