研究開発・学会発表

10月のおはな

妊娠・出産フォーラム「自分らしい妊活のススメ」

学会名

妊娠・出産フォーラム「自分らしい妊活のススメ」

日・場所

平成26年10月12日(日) 京都テルサ 

タイトル

自分らしい妊活のススメ 今、『産むこと』に向き合ってみませんか

発表者名

苔口昭次

英ウィメンズクリニック

ご挨拶                         

今回のテーマは妊活についてです。皆様は、いろんなドラマのような奇跡的巡り合いがあり、ご結婚をされ本日、ご縁があってこの会に参加していただきました。これからご妊娠・出産をお考えのカップルに少しでも役立つ内容を提供でき、そして願わくば感動をお与え出来ればと思います。毎日不妊治療での外来では、いろいろな悩みを抱かれた方にお会いし、良い結果すなはち妊娠されるという感動に立ち会う機会をいただいています。その一部を紹介させていただきたいと思います。

妊活

「妊活」という言葉が、世間ではあふれかえっています。雑誌などの企画で読まれたことも多いと思いますが、妊活について実際の医療関係者のお話を聞きしたい、できれば考え方や意見交換をしてみたいということで来られたのではないでしょうか?この機会に「妊活」の知識を整理して見つめなおしてみましょうというのが今回の主旨です。妊活は自然に妊娠するための身体つくりや生活スタイルの改善とかいわれていると思います。皆さまは妊活とお聞きになりどういう感じを抱かれていますでしょうか? 

フランスの哲学者アラン(幸福論 1868-1951)によると「良医は患者さんにおまじないをかけること」とも言います。さくっと妊娠できる魔法のことばととらえる方もおられるかもしれません。「好意的に受け止めている」「家族をつくる準備」「不妊治療よりも広い意味あいを持つ言葉と感じる」「毎日を丁寧に生きること」などと受け止められる方もおられると思います。理想的には、毎日、健康に気を付けていて、自然に振り返ってみるとあれが妊活であったというのがよいですね。わざわざ妊活と名前をつけると昔とかわった印象になります。言葉に振り回されないようにしてゆきましょう。自然妊娠が一番ですが、努力の必要な面もあると思います。妊活して妊克=妊娠を克服して妊娠するための活動ととらえてください。

ある先生はこうおっしゃいます、「妊活という言葉には違和感を覚えます。それは妊娠は努力によってどうなるものではないから。卵子は老化してゆきます。よい卵子がないとどれだけ頑張っても努力が報われることはありません」と。確かにそうですが、持てる力を統合してアメリカの作家のJosh Billings (1818-1885)がいうように「人生は、よいカードをもつことではなく、自分の持っているカードで上手にプレーすることである。」(Life consists not in holding good cards, but in playing those you hold well.)ということに尽きるのではないかとも思います。それにご協力させていただくのが我々の役割であると思います。今回は、アナウンサーの鈴木愛悠さん、心理カウンセラーの堀田敬子さんにも同席いただき、心の面での妊活についてなど今の妊活状況のお話ができると思います。

さて、妊活について戻ります。ご夫婦でしたら、正しい知識を得て自分なりに身体に訊きながら、また身体と対話しながら、妊娠がゴールで終わらせずに人生の一環としての妊活を進めてゆくことをお勧めしたします。「妊活」ということで妊娠の「妊」ということよりは、活動ということばにあります。活動といえば二つの意味合いをとらえています。自然に妊娠されるのが一番ですがなかなかそうでない場合には、活動が必要です。それによって自分の位置を知ることが第一です。活動しましょうと深い意味の呼びかける言葉があります。Abraham Lincoln(1809-1865)の名言に「Things come to those who wait, but only the things left by those who hustle」(待っているより、努力して活動(ハッスル)している方のほうが得るものは多い)。活動して、いろんな意味での人生の益になるものを吸収していただきたいと思います。

「妊活」の活(身体)

「卵子老化の真実」という本を書かれています河合蘭という方がいます。ちょうど本日は長崎で同じ妊活のシンポジウムでご講演されています。その方が、アンケートを取られていますが、どうやって妊娠されたのかというものです。多くのかた大体7割くらいのかたは、自然に妊娠されていますが、年齢があがるとやはり医学的な介入、不妊治療の必要であること増えてきます。そこで、皆様、見極めをしていただきハッスルしていただきたいと思います。

また、もう一つは、「活」は身体を活発にすることです。私のお話は身体を活性化させることが必要といいたいです。そこにはこころと身体の問題が絡んできます。当院で妊娠された方にアンケートを取ってみました。後輩たち、皆様方のように未妊(近い将来妊娠されるはずの方)へ、妊娠に至るまで、特に気をつかったことは?という質問です。その結果は、各人それぞれのこともありましたが、サプリメント内服はほぼ皆様内服されていて、それから、体を冷やさないように、腹巻、靴下、血流をよくするようにしていました。また、会社をやめて妊娠に専念されたかたもおられました。
またそのアンケートでハーバード大学の調査(看護師1万9千人に聞いた食事)での質問で一つでも実行すると卵巣ホルモン状態改善で妊娠しやすくなるといわてれている7つの食生活を多く守られていました。下記にその7項目をあげます。(参考文献:妊娠しやすい食生活 MacGrawHill出版) 皆様も該当するものを○で囲んでみてください。

妊娠しやすい食生活の7つの原則があります(ハーバード大学調査に基づく)
*玄米や五穀米など精製度の低い穀類を選んでいた 精製された炭水化物へらした
*不飽和脂肪酸をよくとっていた(ナッツ・大豆豆類・マグロ・鮭・オリーブオイルなど)飽和脂肪酸をへらしていた(バター・マーガリン・アイスクリーム・ファーストフードなど減らした)
*牛乳やヨーグルトは低脂肪から無調整にかえていた
*植物性たんぱくをとり、動物性たんぱくをへらしていた
*葉酸・鉄分をとっていた(サプリメントなどもOK)
*水分は十分に 砂糖入りの清涼飲料水をへらした
*体重コントロールに気をつけた。一日30分以上の軽度運動をおこなった
5つ以上の○の場合、卵巣ホルモンの状態による妊娠率はすいぶん上昇するといわれます。


最近(考えていること)

平家物語をご存じでしょうか?以前のNHK大河ドラマで「平清盛」すなわち平家物語が放映されていました。巻1には「祇園精舎の鐘の声・・」という世の中の物事は常に変化するという命題から始まります。最近では結婚式の誓いの言葉もすこしずつ変わってきています。till death to us apart(死が二人を分かつまで)といった誓いの言葉も今は、離婚率が上昇のため、二人が生きている限りなど曖昧になり、また自分たちでいかようにも変えていうこともできるとか聞きました。多くのことが著しく変化があります。その変化に対応してゆかねばならない時代です。

さて、この不妊治療の分野も著しい進歩と各国ごと独自の特色による生殖補助医療(ART)となっています。日本の生殖補助医療は一般に多くの施設では、排卵誘発剤を行い、受精方法は顕微授精が多く、胚は胚盤胞(5日目の胞胚)まで育てて、一度凍結してホルモン環境の良い時期に融解胚移植を1個おこなうスタンスが多いです。また、お産と同様に不妊治療を希望される年齢は年ごとに高くなっています。現在では38歳平均での治療がどこの施設でも一般的になっています。卵巣は卵の倉庫であるため、生まれてから減る一方で再生はできません。「お産をする適齢があるのです」と、その事実を知らない世代が多いとのことNHKスペシャルやクローズアップ現代(2012)で取り上げられて多くの視聴者方に驚きを与えました。

日本では卵子提供はごくすこしのかたに限られます。渡航での卵子提供も新聞で取り上げられています。タイや米国など外国へ卵子提供に約200人/年間渡航されています。現愛もまた今後増加されてゆくものといわれています。これは、若いかたの卵での移植では妊娠率は低下しないデータにもとづくものです。本日グラフでお見せします。ただ問題は、出生した子に幼い時からお話をしてゆくことが大切とのことで心理的な問題も今後あるようです。また、治療の終焉(妊活でうまくゆかない)ことが必要なかたもあります。自分の現実を認識して、新しい門出をとることも選択肢としてあります。


本日の内容が、少しでも、何かの気づきや学びにつながればと思います。ご夫婦で、身体と心に気を付けて動けば、きっとまわりも変わり始めることでしょう。ハッスル・ハッスルしてゆきましょう。