研究開発・学会発表

11月のおはな

第18回 日本IVF学会

学会名

第18回 日本IVF学会

日・場所

平成27年9月26日(土)~27日(日) アクロス福岡

タイトル

1前核由来胚盤胞における凍結融解単一胚移植の妊娠成績について

発表者名

後藤優介、緒方洋美、岩崎利郎、中原恵理、井頭千明、松本由紀子、苔口昭次、塩谷雅英

【目的】

IVFおよびICSI後の受精判定時に前核を1個しか認めない胚(以下1PN胚)は、染色体異常の確率が高いものの、移植によって児を得たという報告もある。当院でも本学会(第13回)で、1PN胚であっても胚盤胞まで発生した胚の中には2倍体の胚が存在し、移植の対象となり得ることを報告した。現在当院では1PN胚は胚盤胞まで培養することとし、胚盤胞に発生すれば移植可能胚として取り扱うという方針をとっている。移植に当たっては、2PN胚から優先し、1PN胚しか無い場合には移植を行うかどうか患者と相談している。今回我々は1PN胚での治療成績について解析したので報告する。

 

【方法】

2009年1月~2015年3月間に、IVF由来1PN胚盤胞を移植した83 周期をIVF-1PN群とし、ICSI由来1PN胚盤胞を移植した23周期をICSI-1PN群とした。検討項目はグレード別の臨床妊娠率、流産率、生児獲得率および先天異常率である。同期間に2PN胚由来の凍結融解胚盤胞1個移植を行った10793周期(以下CL群)を対象とした。

 

【結果】

平均年齢は、IVF-1PN群、ICSI-1PN群、およびCL群で差は認めなった。胚移植あたり臨床妊娠率は、IVF-1PN群:36.1%、ICSI-1PN群:0%、CL群:40.7%で、良好胚盤胞に限定すると胚移植あたり臨床妊娠率は、IVF-1PN群:55.0%、CL群:52.0%であった。流産率は、IVF-1PN群:が13.3%、CL群:22.5%で、良好胚盤胞に限定すると、IVF-1PN群:9.1%、CL群が20.9%であった。生児獲得率(%)は、IVF-1PN群:22.4%、CL群:30.9%となり、先天異常率は、IVF-1PN群:6.7%、CL群:1.9%であった。IVF-1PN群とCL群において臨床妊娠率、流産率および生児獲得率、先天異常率に有意な差は認めなかった。一方、ICSI-1PN群の臨床妊娠率は、他の2群より有意(P<0.001)に低かった。IVF-1PN群の1例の先天異常は気胸であった。

 

【考察】

本検討より、1PN胚でもIVF由来でかつ胚盤胞まで発生すれば2PN胚と同等の生児獲得率を期待できることが示唆された。一方で、ICSI由来の1PN胚は胚盤胞へ発生しても移植後の妊娠率は低く、文献的には妊娠例が報告されているものの、当院では妊娠例は無かった。今後ICSI‐1PN胚を移植の対象と出来るかどうかさらに検討する必要性がある。