研究開発・学会発表

12月のおはな

第19回 日本IVF学会

学会名

第19回 日本IVF学会

日・場所

2016年10月1日(土)~ 2日(日) 神戸国際会議場

タイトル

2種類のTime-lapse観察システムにおける培養および妊娠成績の検討

発表者名

堤由香理、大月純子、辻優大、岩崎利郎、片田雄也、佐東春香、波多野佳苗、古橋孝祐、
苔口昭次、塩谷雅英

【目的】

当院は、Vitrolife社のEmbryoScope®(ES)PrimoVision(PV)2種類のTime-lapse観察システム(TL)を用いた培養を実施している。ESは専用dish (ES-dish)を用いた無加湿下の個別培養で気相の回復が早く、PVwell of well (WOW-dish)を用いた加湿下のグループ培養である。今回我々は、異なる特徴を有する2種類のTLの培養成績について比較検討を行ったので報告する。

 

【方法】

20139月~201512月における、40歳未満かつ採卵初回、IVF/ICSI施行卵数4個以上の症例を対象に、ES154症例1214個、PV136症例1316個を解析した。検討項目は、胚盤胞発生(BL)率、妊娠率、異常分割率、ならびに前核消失から2cell~5cell8cellまでの時間(tpnb2~tpnb5, tpnb8)2cell~3cell (cc2)3cell~4cell (s2)5cell~8cell (s3)までの時間とした。培養dishの検討にはマウス前核期胚(CN57BL/6NCrSlc)を用いた。なお、各dishの対照群は60mm dish150µl1スポット(WOW対照群)、ならびに25µl12スポット(ES対照群)滴下した群とした。

 

【成績】

ES群とPV群の平均年齢に差はなかった。ES群とPV群におけるBL(57.6% vs 53.3%)、良好BL(G3BB≦:26.4% vs 26.3%)、異常分割率(10.1% vs 7.1%)、ならびに化学妊娠率(66.7% vs 61.4%)、臨床妊娠率(60.9% vs 50.9%)に差は認められなかった。同様に、各時間(h)tpnb2 (2.4±1.1 vs 3.1±5.3)tpnb3 (13.0±2.9 vs 13.1±7.2)tpnb4 (14.1±2.6 vs 14.7±7.1)tpnb5 (26.3±5.3 vs 26.3±8.9)tpnb8 (33.9±7.8 vs 34.5±9.6)cc2 (10.6±2.9 vs 9.9±3.7)s2 (1.1±2.0 vs 1.4±2.4)s3 (7.6±7.3 vs 8.0±7.1)に差は認められなかった。一方、dishの比較に用いたマウス胚のBL率は、ES-dish30.4%ES対照群;36.4%WOW-dish78.1%WOW対照群;31.3%であり、他群に比べてWOW-dishは有意に高かった(p<0.01)

 

【考察】

マウス胚の結果から、WOW-dishの有用性が改めて示された。しかしながら、ヒト胚ではグループ培養であるPV群と、個別培養であるES群で差が認められなかった。この理由については、今後の検討課題である。