研究開発・学会発表

10月のおはな

第37回日本アンドロロジー学会

学会名

第37回日本アンドロロジー学会

日・場所

2018年6月15日(金)~16日(土)ラ・スイート神戸オーシャンズガーデン

タイトル

2種類の密度勾配液を用いた人工授精時の精液所見と妊娠率の比較

発表者名

松田彩花、岸加奈子、横田梨恵、古橋孝祐、江夏徳寿、辻優大、伊藤宏一、水澤友利、松本由紀子、苔口昭次、塩谷雅英

【目的】

当院では人工授精(以下IUI)を実施するにあたり、良好精子回収のために密度勾配分離法を用いて精液の調整を行っている。今回精子調整用に市販されている調整液(以下A液)と従来使用している90% percoll (以下P液)を用いて、精液調整前後の運動精子濃度を算出し、その濃縮率とIUI後の化学妊娠率を比較検討したので報告する。

【方法】

2016年8月~2017年1月にIUIを実施した患者のうち、原精液の総運動精子数が10×106以上を対象とした。周期数は2016年8月15日~11月15日にA液を使用した668周期、2016年11月16日~2017年1月15日にP液を使用した505周期の計1173周期だった。検討項目として、両群の調整前後の運動精子濃度を算出し、その濃縮率、及び化学妊娠率について比較した。それぞれの密度勾配液の調整方法は、それぞれの密度勾配液にHSA 10%添加のハンクス液を等倍で調整したものを使用した。調整方法は、両群の調整液に原精液を重層し、遠心分離(300g×20分)を行った。精子数の測定にはSMAS(精子運動解析装置)を用いた。

【結果】

調整後の運動精子濃度は調整前と比較して、A液では57.0%、P液では23.1%濃縮され、A液の濃縮率が有意に高かった(p=2.714×10⁻⁷)。IUI後の化学妊娠率は、A液7.3%、P液7.9%であり、両群での有意な差は認めなかった(p=0.716)。

【結論】

妊娠率において有意な差は見られなかったものの、2種類の密度勾配液を用いた調整後の運動精子濃度の濃縮率はA液が有意に高く、IUIにおいて必要不可欠な運動精子をより多く回収する為に有用な密度勾配液であることが示唆された。