研究開発・学会発表

2月のおはな

第22回 日本IVF学会学術集会

学会名

第22回 日本IVF学会学術集会

日・場所

2019年10月5日(土)~6日(日)JR九州ホール及び会議室

タイトル

運動精子選別装置「ミグリス」と従来法における精子調整法の比較

発表者名

鈴木 理恵、岸 加奈子、山上 一樹、古橋 孝祐、江夏 徳寿、岩﨑 利郎、松本 由紀子、
苔口 昭次、塩谷 雅英

【目的】

ARTにおける精子調整方法には、密度勾配遠心分離法、洗浄濃縮法及びswim up法などが用いられている。一方で、これらを伴う調整方法では遠心分離を行うため精子に対して物理的ダメージを与えることやDNA fragmentationの増加が懸念されている。

そこで本検討では、Migration-Gravity Sedimentation Method(以下:MS)原理を利用した遠心分離を行わない運動良好精子を選別する装置「ミグリス」(株式会社メニコン)に着目した。これは、外筒と内管の2重構造を有しており、精液の上に調整液を充填することにより運動精子のみが調整液に移動することを利用し、内側の管の底に運動精子を集めることができる装置である。このミグリス(以下:MS法)で調整した精子、密度勾配遠心分離法(以下:従来法)で調整した精子において、各調整方法の精子濃度、精子運動率及びDNA fragmentation index(以下:DFI)を比較検討したので報告する。

【方法】

液量1.6ml以上、運動精子濃度1000万/ml以上の廃棄精液30検体を対象とした。精子調整に使用した培養液は、Universal IVF Medium(以下:UIM、Origio Denmark)を用いた。まず、検体を1.6ml採取し、2倍希釈後、液量を3.2mlに統一した。そのうち0.2mlを原精液群とし、残り3.0mlを従来法とMS法に、それぞれ半量に分けて調整を行った。従来法では、PercollR(Sigma Aldrich Japan)を用いて2層(90%、45%)密度勾配遠心分離法を施行し、上清除去後UIMを用いて調整液を回収した。更に10検体の原精液を従来法とMS法に分け、精子DFIの評価を行った。精子DFIの評価には、HalospermRG2 (Halotech DNA)を使用した。染色後、光学顕微鏡にて300個の精子を観察しDFIを測定した。

【結果】

調整後の平均運動精子濃度は、従来法1050万/ml、MS法510万/ mlとなり、MS法は従来法よりも有意に低かった。しかしながら、調整後の平均精子運動率は従来法79.5%、MS法89.7%とMS法において有意に高かった。またDFIは、原精液23.6%に対し、従来法10.8%、MS法1.8%となり、両群とも原精液より有意に低率となった。またMS法は従来法と比較し、DFIが低い傾向にあった。

【結論】

平均運動精子濃度は、従来法の方が高いが平均精子運動率はMS法の方が高かった。また、DFIは、MS法のみならず、従来法でも原精液より有意に低率となった。一方でMS法は、従来法と比較し低率な傾向となった。以上のことから、遠心分離を行わないMS法は、従来法より運動精子を選別し、精子へのダメージが少ない調整法であることが示された。