研究開発・学会発表

2月のおはな

第22回 日本IVF学会学術集会

学会名

第22回 日本IVF学会学術集会

日・場所

2019年10月5日(土)~6日(日)JR九州ホール及び会議室

タイトル

ICSI時の紡錘体観察は培養成績を向上させるのか

発表者名

井頭千明、古橋孝祐、岩﨑利郎、松本由紀子、苔口昭次、塩谷雅英

【目的】

卵子の第一減数分裂において、第一極体はanaphaseⅠに放出がはじまりtelophaseⅠに至って完全に放出される。しかし、この時点ではまだMⅡスピンドルの形成はなく、prophaseⅡを経て初めてMⅡ卵となる。一般的にICSIは、第一極体の放出を確認できた卵をMⅡ期として実施するが、第一極体の観察だけでは、anaphaseⅠ~prophaseⅡの卵をMⅡ卵と鑑別することは容易ではない。従って、ICSIに先立ってMⅡスピンドルの有無を観察し、観察できない卵は数時間の培養を行いMⅡスピンドルの出現を待ってからICSIを行うことで成績の向上を期待できるとの考えがある。そこで今回我々はICSI時の紡錘体観察の有用性について検討したので報告する。

 

【方法】

検討期間:2018年8月~2019年5月。検討対象:初回ICSIを施行した169周期914個の卵。650個に紡錘体観察を実施したところ(観察群)、600個にMⅡスピンドルを認め(MⅡ群)、50個にはMⅡスピンドルを認めなかった(非MⅡ群)。264個は紡錘体観察を実施せず従来通りICSIを実施した(非観察群)。非MⅡ群のうち35個は2時間の追加培養後にICSIを行い(培養群)、15個に対しては、培養を行わずICSIを行った(非培養群)。培養群は2時間の追加培養後に、MⅡスピンドルの有無にかかわらずICSIを実施した。紡錘体の観察は位相差顕微鏡Nikon ECLIPSE Ti2-Uを用い、maturation triggerから38~41時間後に実施した。

 

【結果】

観察群、MⅡ群、非MⅡ群、培養群、非培養群、非観察群の成績は、それぞれ正常受精率:74.3%、74.5%、72.0%、62.9%、93.3%、79.9%、D5胚盤胞発生率:56.2%、57.5%、41.4%、42.1%、40.0%、51.0%であった。観察群と非観察群の比較では、両群に有意な差は認めなかった。さらに、培養群と非培養群の比較でも、有意な差は認めなかった。

 

【考察】

ICSI時の紡錘体観察の有用性に関して否定的な結果を得た。その理由の第一は、紡錘体可視化率が92%と高かったこと、第二として、MⅡスピンドルの形成を認めない卵でも遜色の無い受精率および胚盤胞発生率が得られたことをあげることができる。anaphaseⅠ~prophaseⅡの卵はMⅡスピンドルの出現を待ってからICSIをするべきという考えには再検討の余地がある。