英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第64回日本生殖医学会学術講演会・総会

  • 抗酸化物質添加培養液と非添加培養液によるヒト胚培養成績の比較
  • 2019年11月7日(木)~8日(金)神戸国際会議場・神戸国際展示場
  • 第64回日本生殖医学会学術講演会・総会
  • 阿部礼奈、角本知世、古橋孝祐、岩﨑利郎、伊藤宏一、水澤友利、松本由紀子、苔口昭次、

    塩谷雅英

【目的】

活性酸素種は、胚の発生を阻害したり遅延させたりすると言われており、抗酸化物質は活性酸素種によって引き起こされる酸化障害から細胞や組織を保護する機能を持つ。マウスモデルを用いた研究では、培養液中に抗酸化物質を添加することで、胚盤胞への発生を促進することが報告されている (Natsuyama S et al., 1992)。しかし抗酸化物質のヒト胚への影響についての研究は少ない。そこで我々は、ヒト胚における抗酸化物質の有用性を検討した。

【方法】

検討1. 2017年10月から2018年6月に採卵を行い、受精判定時に2PN胚が6個以上得られた胚盤胞凍結予定の142周期を対象とした。対象とした2PN胚は、判定時にランダム化封筒に従ってVitrolife社の抗酸化物質非添加群 (G-TL群) と添加群 (G-TLX群) とに分けEmbryoScope+にて培養を行い、D5胚盤胞発生率、D5良好胚盤胞率 (G3BB≦) を比較した。

検討2. 2017年11月から2018年12月に融解後単一胚移植を行った102周期を対象とし、その妊娠成績を比較した。融解後の回復培養は、検討1 の各培養液を用い、移植にはEmbryoGlueを用いた。

【結果】

検討1. G-TL群 (2PN=599個) とG-TLX群 (2PN=602個) のD5胚盤胞発生率 (58.5% vs. 55.1% )、およびD5良好胚盤胞率 (62.5% vs. 58.5%) は両群間に差を認めなかった。

検討2. G-TL群 (62周期) とG-TLX群 (40周期) の妊娠率 (48.4% vs. 42.5%)、および流産率 (33.3% vs. 23.5%) においても差を認めなかった。

【結論】

本検討結果より、抗酸化物質添加培養液と非添加培養液で、培養成績および妊娠成績に差を認めなかった。抗酸化物質はマウスの胚盤胞に良好な影響をもたらすという報告があるが、ヒト胚ではさらに検討が必要であろう。

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