研究開発・学会発表

9月のおはな

第23回 日本IVF学会学術集会

学会名

第23回 日本IVF学会学術集会

日・場所

2020年10月31日(土)~11月1日(日)広島コンベンションホール

タイトル

当院におけるPiezo-ICSIの変遷について

発表者名

古橋孝祐

胚培養士が習得すべき技術のなかで、顕微授精手技は最も高度な技術の一つであることは議論の余地の無いことであろう。顕微授精手技の巧拙によって患者は得られる受精卵の数が減ることもあれば、増えることもあるため、その技術の習得は非常に重要である。当院では安定した高い受精率かつ、低い変性率を達成できる顕微授精手技を習得できるよう教育プログラムを構築しており、このプログラムに基づいてトレーニングを行っている。2000年の開院以来、当院において顕微授精操作は、Conventional ICSIを第一選択としてきたが、1995年にYanagimachiらによってマウスにおけるPiezo-ICSIの有用性が報告され、また、1998年には、YanagidaらによってPiezo-ICSIの有用性がヒトにおいても報告された。その後、2013年に平岡らによってUltra-thin Micropipetteを用いたPiezo-ICSIの有用性が報告されたことを受けて、当院でもPiezo-ICSIの有用性を検討した。その結果、42歳以上の高齢患者においてはPiezo-ICSIで有意に高い胚盤胞発生率を認め、この結果は学会等でも発表してきた。この検討以降、当院では老化した卵子においてPiezo-ICSIがより有効であろうと考え、2016年7月より、40歳以上の患者における顕微授精は全例Piezo-ICSIを行うという治療方針としたが、期待したほどの受精率及び胚盤胞発生率の向上が認められず、2017年からは再びConventional ICSIを第一選択に戻したという経緯がある。この原因として、当ラボではConventional ICSIを迅速に行う技術を習得することを第一の目標にしていたため、Piezo-ICSIに必要な精緻で時間のかかるセッティングに違和感のある施行者もあり、その結果施行者間に技術のバラツキが生じたため、結果的に成績に負の影響があったと考えられた。
その後、Piezo-ICSIの再評価を行う際に技術の見直しをゼロから行い、技術のバラツキが影響しないようにするため、手技者は熟練技術者一人に固定し検討した結果、35歳以上症例において、有意な培養成績の向上を認めたため、各手技者にPiezo-ICSIの技術を再教育し、2019年1月より40歳以上患者の顕微授精は全例Piezo-ICSIを行うという治療方針に再び変更した結果、前年(2018年)と比較し受精率・胚盤胞発生率などが有意に上昇した。このようにPiezo-ICSIといってもその技術が未熟であれば、良好な成績に繋げることは出来ないが、安定したPiezo-ICSI技術を確立さえすれば、胚発育の向上に寄与することが示唆された。本講演では当院におけるPiezo-ICSIの変遷について言及していきたい。

 

【略歴】

2005年3月   北里大学獣医畜産学部卒業(現:北里大学獣医学部)
4月   英ウィメンズクリニック 入職
2011年4月    英ウィメンズクリニック 培養部門 主任
2016年4月    英ウィメンズクリニック 培養部門 部長
2019年4月     英ウィメンズクリニック 培養部門 統括部長

日本卵子学会認定胚培養士、日本臨床エンブリオロジスト学会認定臨床エンブリオロジスト、
日本不妊カウンセリング学会認定体外受精コーディネーター、医療福祉検定協会認定医療環境管理士、
医療福祉検定協会認定医療福祉環境アドバイザー、第一種衛生管理者