研究開発・学会発表

9月のおはな

第38回日本受精着床学会総会・学術講演会

学会名

第38回日本受精着床学会総会・学術講演会

日・場所

2020年10月1日(木)~10月23日(金)ウェブ開催(オンデマンド配信)

タイトル

AIを用いたスマートフォン精液検査の精度向上への試み

発表者名

中川奈緒子、江夏徳寿、片田雄也、古橋孝祐、岩﨑利郎、松本由紀子、苔口昭次、塩谷雅英

【目的】

スマートフォンアプリを用いた自宅での精液検査は簡易であり男性の治療の第一歩となり得るが、専門病院での検査と比べ検査項目が少なく精度も十分ではない。現行のスマートフォンアプリプログラムでは、iPhoneにて、精子濃度、運動率の測定が可能である。今回、精子濃度・運動率の精度の向上、検査項目の追加(前進運動率と運動速度)、iPhoneのみでなくGalaxy・Pixel・Xperiaにおいても同様の測定結果を得ること、を目的としプログラムの共同開発を目指した。

【方法】

2019年1~5月にかけて当院でSMASにて精液検査を行った100症例を対象とした。SMASでの検査結果と、リクルート社の開発したスマートフォン精液検査デバイスのデータとを照合し、相関を調べた。データのばらつきを評価するために、測定はそれぞれ3回ずつ行った。

【結果】

SMASとスマートフォン精液検査の結果をそれぞれ比較した場合、相関係数は運動率、濃度において0.62、0.55と一定の相関を認めた。一方で、前進運動率と速度に関しては0.25、0.01とほとんど相関を認めず、標準偏差もSMASの10倍以上認めたことからデータの再現性が乏しいと考えられた。そこでデータ動画の再解析をリクルート社に依頼し、AIを用いた精子認識力の向上と認識確度の調整を行った。調整後のプログラムを用いて再度同じ精子動画を解析したところ、濃度、運動率、前進運動率、速度において相関係数0.79、0.59、0.58、0.40と相関の改善を認め、データのばらつきも軽減した。スマートフォン4機種間で、得られた数値は同程度であった。

【考察】

AIを用いて、精子認識力の向上と認識確度の調整を行うことで、各検査項目の精度向上を認め、またスマートフォンの使用機種の違いに関わらず精子濃度や運動率を正確に測定できた。前進運動率と運動速度については、観察視野が狭いためデータにばらつきが出る傾向を認めたが、AIを用いたプログラムの改良により補完可能である可能性が示唆された。