英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第27回 日本アンドロロジー学会

  • 研究用過冷却装置『プロケプト』を用いた精子保存試験について
  • 平成20年7月4日~5日 先斗町歌舞練場
  • 第27回 日本アンドロロジー学会
  • 古橋 孝祐1、石川 智基2、後藤 栄1、松木 俊英1、橋本 洋美1、苔口 昭次1
    招 和暁3、藤澤 正人2、塩谷 雅英1
    1)英ウィメンズクリニック
    2)神戸大学大学院医学系研究科 腎泌尿器科学分野
    3)メビックス株式会社 経営企画室 セルサイエンス担当

【発表の概要】

【目的】臓器や細胞などの生体試料を-5℃でも不凍結な状態(過冷却状態;物質が氷結点を越えても凝固しない状態)で保存できる過冷却装置『プロケプト』は再生・移植医療領域において有用性が報告されている。そこで今回我々は精子保存におけるプロケプトの有用性について検討した。

【方法】2007 年6~8月に60例(年齢35.3±5.1)の患者の同意が得られた余剰射出精液を用い、同一症例の原精液(Co. 74.5±40.0×106/ml、 Mo. 41.2±13.3%)を、常温(25℃)保存(常温群)、冷蔵庫(4℃)保存(冷蔵群)、プロケプト保存(P群)に3等分し、精液保存開始後12、 24、48、72時間後に精子運動率をMAKLER計算盤で測定し、その運動率の変化を変動ポイント(各測定時間の運動率から保存前の運動率を引き算した値)として検討した。精液保存に用いる溶液には〔実験1〕精液のみ、〔実験2〕精液とTEST Yolk Buffer(TYB)(グリセロール含)の等倍混合、〔実験3〕精液とTYB(グリセロール不含) の等倍混合の3種類を使用しそれぞれの変動ポイントを経時的に測定した。

【結果】〔実験1〕保存開始12、24、48、72時間後の変動ポイントは、常温群-16.7±14.1 、-27.5±12.9、-35.7±14.9、-35.8±15.0。冷蔵群-28.9±12.4、-32.2±14.7、-33.1±15.1、-33.7±15.3。P群-35.2±14.6、-35.4±14.7、-35.7±14.9、-35.7±14.9であった。保存開始12時間後において、常温群での運動率低下の下げ幅(-16.7±14.1)は冷蔵群( -28.9±12.4 )、P 群(-35.2±14.6)に比し有意に小さく、24 時間後において常温群(-27.5±12.9)は P 群(-35.4±14.7)に比し、有意に小さかった。また、48、72時間において有意な差は認めなかった。
〔実験2〕保存開始12、24、48、72時間後の変動ポイントは、常温群-28.3±11.0、-32.5±11.9、-38.4±13.3、-41.4±13.0。冷蔵群-27.1±9.7、-27.6±10.9、-36.8±10.8、-40.8±11.7。P群-22.6±11.5、-30.5±10.8、-39.4±11.3、-41.8±12.2であった。全ての時間において常温群・冷蔵群・P群間に有意な差を認めなかった。
〔実験3〕保存開始12、24、48、72時間後の変動ポイントは、常温群-23.9±11.8、-33.6±12.1、-40.5±11.0、-42.0±9.4。冷蔵群-21.2±9.2、-24.0±12.1、-28.4±10.4、-29.1±12.4。P群-29.5±11.6、-36.6±10.9、-44.0±10.4、-44.5±10.7であった。全ての時間において冷蔵群がP群に比し、有意に運動率低下が小さかった。また24、48、72時間において冷蔵群は常温群に比し、有意に運動率低下が小さかった。

【結語】本研究において精子保存に対する過冷却装置『プロケプト』の有用性は認められなかった。

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