診療・治療
【目 的】 我々は、昨年度の本学会において、採卵前の卵胞成熟にGnRHagonistを用いたが卵子回 収率もしくは成熟卵率が低かった症例に対するGnRHagonist負荷試験を行った 結果について報告した。その後、ART前に全患者に同負 荷テストを導入し、結果によって、ロングまたはショート法以外の患者に卵胞成熟を促す場合にGnRHagonistとHCGどちらを用いるか を決定している。今回、検査結果をまとめたので報告する。
【方 法】 CD3-5の間にGnRHagonist(酢酸ブセレリン300μg)点鼻前と点鼻後120分に、それぞれ血 中LHおよびFSHを測定した。LHが投与前に比べ5倍以上かつ25mIU/ml以上に上昇したものをGnRHagonistに対する下垂体の 反応性が良好とした。
【結果】 2011年5月~2012年7月 の間にGnRHagonist負 荷試験を行った症例は686例 であった。平均年齢は35.1±4.6歳。 負荷前LHの 平均値は5.8±4.0mIU/ml、 負荷2時 間後LHの 平均値は43.8±25.5mIU/ml、 負荷前FSHの 平均値は8.0±6.4mIU/ml、 負荷2時 間後FSHの 平均値は19.4±11.8mIU/mlで あった。LHの 平均上昇率は15.3±54.8倍、FSHの 平均上昇率は2.9±1.9倍 であった。反応不良と診断された症例は184例(26.8%)で あった。結論 GnRHagonist負荷試験は2時間後の採血という時間的な拘束 はあるものの、簡便に行える検査であり、ART前 に施行するべき検査であると考えられる。しかし、現在の基準では反応不良と診断される症例が多く、ロング法、ショート法以外の採卵周期に できるだけ卵胞成熟にHCGを 使用せず、OHSSや 遺残卵胞発生を避けるため、判定基準をより的確に定める必要があると考えられた。