英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第34回日本遺伝カウンセリング学会学術集会

  • 高度生殖医療施設における遺伝カウンセラーの現状
  • 平成22年5月28日~30日 東京女子医科大学
  • 第34回日本遺伝カウンセリング学会学術集会
  • 松田圭子(英ウィメンズクリニック)

テーマ : 「遺伝カウンセラーの専門性(オリジナリティ)と他医療者との協働」
タイトル : 高度生殖医療施設における遺伝カウンセラーの現状
英ウィメンズクリニック 松田圭子

 私は、2008年4月、正職員の遺伝カウンセラーとして高度生殖医療施設に入職し、遺伝カウンセリング(以下GCと略記)業務を主として働いている。当院は不妊治療を専門とする施設で、体外受精・顕微授精を多数実施しており、日本生殖医療標準化機構に加盟する23施設の一つである。勤務当初はスタッフのGCに対する認知度は低かったが、スタッフ向け勉強会を行い、クリニックで必要な遺伝学的情報やGCに対する理解が深まるにつれ、GCが必要だと感じられる方に勧めてもらえるようになってきた。自主的な来談以外に医師が患者にGCを積極的に勧めることも多い。2年経った現在、ネット予約制で月に約35件のGCを行っているが、当日の急なGCの希望にもできるだけ対応している。少数だが他院よりGCを紹介されての来談もある。相談は妊娠前 / 後の“高齢不安”に関するものが多数を占めるが、いわゆる“高齢”という背景に加えて、体外受精への不安、流産、前児の先天異常、および不妊・不育に関わる様々な遺伝学的状況についての相談等を受けている。また、当院は分娩を扱っていないが羊水検査・母体血清マーカーは実施しているため、検査前のGCと結果開示を担当している。GC以外の業務には、説明書や同意書の作成、検査会社への連絡・問い合わせ、他院への返書作成等の他、着床前診断申請にあたり倫理委員会事務局の担当、申請書類等の作成、医師の診断結果説明後に担当胚培養士が同席したGCを行っている。様々な遺伝的背景に関する評価については、院外の専門家の先生方にご助言いただいているが、当院で扱っていない内容でGCの必要を感じた場合は、適切なGC施設へ紹介している。これまでは一人部門であったが、4月より、不妊カウンセラー(治療のコーディネートや心理支援を担う看護師)、心理カウンセラー(非常勤の臨床心理士)と同部門になり、院内医師や他部署のスタッフと組織的な連携が期待できる。今後の課題としては、GCにおいてクライエントの様々な心理状況や夫婦の問題等が浮かび上がってくることが多いため、心理職と連携しつつも、遺伝カウンセラー自身の心理支援技術の充実が急務であると感じている。また、高度生殖医療施設に勤める遺伝カウンセラー間で情報交換やディスカッションを随時行っているが、今後こうしたネットワークをより充実させていくことも重要と思われる。

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