診療・治療
【目的】
SEETは子宮内膜胚受容能促進のために胚盤胞移植(BT)に先立ち胚培養液上清を子宮内に注入する移植法である。SEETがどのような症例に有用か検討した。
【方法】
2005年1月〜2010年2月に胚盤胞1個移植したBT 1045周期、SEET 2596周期を対象とし、採卵回数別、胚盤胞の形態別、子宮内膜調整法別に臨床妊娠率(PR)を後方視的に比較検討した。
【成績】
Gardner分類でG3AA以上をhigh grade胚(H胚)としG3AA未満をlow grade胚(L胚)とした。ホルモン調節周期において、H胚を移植した周期の採卵回数別のPRは、BTとSEETでそれぞれ1回目は57.3%(142/248)と68.7%(279/406)(p=0.003)、2〜3回目は55.9%(33/59)と64.9%(111/171)、4回目以上は40.0%(10/25)と56.2%(50/89)でありSEETが高い妊娠率であった。L胚ではそれぞれ1回目は37.0%(119/322)と39.0%(363/933)、2〜3回目は29.6%(32/108)と35.8%(170/475)、4〜10回目は20.3%(12/59)と23.8%(76/320)であり有意差はなかった。自然排卵周期での移植では、H胚を移植した周期の採卵回数別のPRはBTとSEETでそれぞれ1回目は48.6%(35/72)と48.3%(14/29)、2〜10回目は62.5%(15/24)と54.1%(13/24)、L胚ではそれぞれ1回目は40.0%(34/85)と29.2%(26/89)、2〜10回目は25.9%(11/43)と30.0%(18/60)で有意差はなかった。
【結論】
SEETはホルモン調節周期でhigh gradeな胚盤胞を移植する周期において採卵回数に関わらずBTより高い妊娠率が得られる移植法である。