診療・治療
不妊治療の保険適用から間もなく3年が経過し、2024年6月には初めての診療報酬の改定を経験した。
不妊治療が身近な治療として認知されるようになった昨今、保険適用前よりも受診患者数は増える一方で、医療者側の視点から見ると保険適用条件や診療報酬の算定が複雑で、日々の業務が増加しているといった問題点があり、スタッフの疲弊や待ち時間の延長といったマイナス面も懸念される。そのため当院では、患者満足度を保ちつつ、院内の業務効率向上を行う為、日々ICT(Information and Communication Technology)技術の活用に取り組んでいる。
当院では電子カルテ(システムロード社:RACCO)とデーターベース管理システム(クラリス社:ファイルメーカー)と予約管理及びクラウド管理システム(システムロード社:記録道)を併用し診療を行っている。
また、2024年3月11日より診療費後払いシステム(アルメックス株式会社:Sma-pa)の導入も行った。不妊治療保険適用後、最も煩雑になった業務が「診療報酬明細書の摘要欄への記載事項の入力」である。
当院ではシステムロード社が提供していた「オーダー連携システム」を導入し、ファイルメーカーを1人員として会計担当者がWチェックするという運用を行い、煩雑な作業を簡素化している。他に「オーダー連携システム」を用いて採血オーダーの一括送信及びファイルメーカーからの採卵や移植の予約取得も開始した。
採血オーダー一括送信機能の導入前は対象患者の保険、自費をカルテから読み取り、1項目毎にオーダーを入力していたが、一括送信が可能になった為、検査技師の業務簡素化及び採血までの患者呼出の時間が短縮された。
採卵や移植の予約はファイルメーカーに入力された採卵日を判断し、対象日付の予約状況のみが表示される。今までは予約取得後、電子カルテの備考欄に必要事項を手入力していたが、オーダー連携システム導入後、備考欄へ記載が必要な項目も自動連携が可能になった為、予約取得時の煩雑な作業が無くなり、業務の簡素化に繋がった。
患者満足度向上を目的とした取り組みとしては、診療費後払いシステム及びWeb問診票の導入を行った。診療費後払いシステムは昨年度の研究会でも少し触れさせて頂いたが、今回は導入してから現在までの利用率や運用方法、導入したからこそ見えてきた改善点もご紹介させて頂きたい。また、Web問診票はただ導入するのではなく、医師の問診業務が簡素化出来るように構築時に少し工夫を行った。
IoT技術を用いながら、院内ICT化によって、患者満足度は保ちつつ、業務効率向上も実現出来たのではないかと考えている。取り組むべき課題はまだ残されているが、今後も不妊治療施設の「あったらいいな」をかなえるべく開発を続けていきたい。