診療・治療
【目的】採卵周期において最大平均卵胞径はトリガー実施時期の指標の1つであるが、患者背景により至適卵胞径は異なる可能性がある。また、複数卵胞の存在下では、採卵時に得られた卵がどの卵胞から得られたか把握が困難であることが多い。今回、我々はトリガー実施時の卵胞とそこから得られた卵の転機を一致させるために、トリガー実施時と採卵時の卵胞が1つのみであった症例に限定して解析し、トリガー時の至適卵胞径と患者背景による関係を明らかにすることを目的とした。
【方法】2019年4月~2024年4月に当院でトリガー実施日に卵胞径測定が行われ、トリガー実施日の卵胞数および採卵時の穿刺卵胞が1つのみであった1435周期を対象とした。トリガー実施日の最大平均卵胞径が15mm以下のVSF(very small follicle)群, 16~18mmのSF(small follicle)群, 19mm以上のNF(normal follicle)群に分類し、卵回収率、成熟率、受精率、胚盤胞形成率、臨床妊娠率を比較した。また、年齢との関係を調べるため、42歳以下と43歳以上の群で分けて比較した。
【成績】平均年齢はVSF群:41.8±4.3歳、SF群:42.0±4.1歳、NF群:41.4±4.0歳であった。卵回収率はVSF群:63.1% (219/347)、SF群:69.6% (511/734)に対してNF群:55.9% (198/354)と、NF群はSF群と比較して卵回収率が有意に低く (p<0.001)、VSF群と比較しても同様に回収率が低い傾向であった (p=0.063)。成熟率、受精率、胚盤胞形成率、良好胚盤胞率、臨床妊娠率は各群で有意な差は認めなかった。年齢と卵回収率については、42歳以下ではVSF群、SF群、NF群の間に有意な差は認めなかったが、43歳以上ではNF群:48.3%(72/149)は有意にSF群:71.1%(243/342)(p<0.001)、VSF群:62.7%(94/150)(p=0.020)と比較して卵回収率が低かった。
【結論】43歳以上の高齢患者では、トリガー実施時の至適卵胞径が異なる可能性がある。患者背景に応じたより詳細なトリガー実施時期の解析が望まれる。