不育治療
不育症とは、妊娠は成立するものの流早産を繰り返すことをいいます。流産は決して稀ではありません。
複数回の流産の経験がある方は、その原因を調べ、治療しておく必要があるでしょう。
不育治療の検査
過去の流産歴が2回までの場合
流産の原因は、母体側要因と胎児側要因に大別されます。初回流産の場合、多くは胎児側の染色体異常が原因であるため治療方法はありません。そのため、医学的には流産検査および治療の対象にはなりません。ただし、検査のご希望のある場合には相談していただくことも可能です。
連続3回以上の流産の場合(習慣流産)
年齢、不妊治療歴、患者様のご希望等により相談して必要な検査を行います。
医師からのアドバイス
流産は大変つらい経験であり、次の妊娠に向けて気持ちを切り替えるまでに時間や精神的な準備が必要となるでしょう。当院では不育症の専門外来として、不育・着床不全外来や不育症カウンセリングを開室しています。必要に応じて、当院培養士、遺伝カウンセリング、心理カウンセリング、統合医療とも連携していきながら、総合的なサポートを目指しています。ぜひご相談ください。
不育の主な原因と治療
内分泌代謝異常
[ 原因 ]
高プロラクチン血症(潜在性)不妊の原因としても知られ、妊娠維持に関与しています。
黄体機能不全妊娠継続を維持する黄体ホルモンの不足が考えられます。
甲状腺機能異常甲状腺機能異常の方に、初期流産が多いことが知られています。
糖尿病空腹時血糖値を測定します。高血糖は流産を招き、胎児奇形を引き起こす可能性もあります。
[ 治療法 ]
高プロラクチン血症(潜在性)プロラクチンの分泌を抑える薬を内服します。
黄体機能不全黄体ホルモン内服、hCG注射、排卵誘発をします。
甲状腺機能異常甲状腺薬、抗甲状腺薬を内服します。(専門内科へご紹介いたします。)
糖尿病食事療法、内服、注射療法があります。(専門内科へご紹介いたします。)
子宮の形の異常
[ 原因 ]
子宮筋腫、子宮内膜症、子宮形態異常(双角子宮、中隔子宮、重複子宮など)子宮腔内癒着、内膜ポリープなどが流早産の原因となることがあります。子宮内腔に張り出す様な子宮筋腫がある場合や子宮の形態が変形している場合、流産の原因となります。
[ 治療法 ]
腹腔鏡、子宮鏡、開腹により子宮の形成術を行います。
抗リン脂質抗体症候群、プロテインC・プロテインS低下、凝固第12因子低下
[ 原因 ]
抗リン脂質症候群では、血液が固まりやすく(血栓ができやすく)、胎盤の血液のめぐりが悪くなり流産を起こしやすくなると考えられています。
[ 治療法 ]
低用量アスピリン療法
基礎体温高温期後期からアスピリン、ゼンアスピリン100mg錠を1日1錠内服開始します。妊娠が判明すれば妊娠27週終り頃まで毎日続けて内服します。妊娠が成立しない場合または月経が開始すれば内服を中止します。また次の周期の高温期7日目から内服を再開します。
へパリン療法
妊娠判明時よりヘパリン2,500~5,000単位の1日2回皮下注射(合計1日5,000~10,000単位)を開始します。患者様の病歴、検査結果より最長妊娠10カ月まで継続する場合もあります。毎日注射しますので、自己注射していただけるように指導します。
副作用について
アスピリン、ヘパリン療法を行うと出血しやすくなる場合があります。ヘパリン療法開始時は頻回に採血検査を行い異常がないか調べます。1%弱の頻度で出血の危険性が強くヘパリン療法を中断しなければならない方がいらっしゃいます。アスピリンにより喘息が誘発されることがあります。喘息の既往がある方は医師にご相談ください。
治療成績
抗リン脂質抗体症候群では無治療の場合、次回の妊娠が流産しない割合は20%であるのに対し、アスピリン療法単独では30~40%、アスピリン、ヘパリン併用療法では70~80%の割合で流産を予防できます。
自己抗体異常
[ 原因 ]
自己抗体異常とは、自分の体の細胞を自分の抗体で攻撃してしまう病態です。本来抗体は細菌などの異物に対して自分を守るために攻撃を行うものですが、自己抗体異常の場合は自分の細胞に対して攻撃してしまい、流産を引き起こすと考えられます。
[ 治療法 ]
低用量アスピリン内服療法
基礎体温高温期後期からゼンアスピリン100mg錠を1日1錠内服開始します。妊娠が判明すれば妊娠10週終り頃まで毎日続けて内服します。妊娠が成立しない場合または月経が開始すれば内服を中止します。また次の周期の高温期7日目から内服を再開します。
柴苓湯(漢方)内服療法
異常が判明しだい内服開始し、分娩前まで内服します。副作用は肝機能障害があります。
染色体異常
[ 原因 ]
夫婦いずれかに染色体異常がある場合流産を繰り返すことがあります。
[ 治療法 ]
染色体の異常がわかった場合、残念ながら治療の方法はありません。しかし、患者様により出生前診断の適応となることがありますので、ご相談ください。
参考情報
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