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カウンセラー・ナースコラム

はなぶさコラムス

遺伝的要因から不妊のカウンセリングを行う遺伝カウンセラー、心の専門家である心理カウンセラーからお届けするコラムです。 遺伝カウンセリング、心理カウンセリングの予定はこちらからご覧頂けます。

遺伝:ダウン症療育研究会に行ってきました(2009年7月)

 先日、奈良県で開催された「ダウン症療育研究会」に参加しました。
この研究会は、医療者、教育者、保護者、学生、など様々な人が集まり、
ダウン症のお子さんたちへの療育を考える場です。

 今回も様々なテーマで講演がありました。
その中に、ダウン症児の療育とは直接関係はないのですが、
とても興味深いお話があったのでご紹介したいと思います。

 京都大学で心理学を研究しておられる先生が、
『比較認知発達科学』というアプローチ、
具体的にはチンパンジーとヒトの赤ちゃんの発達を比較することによって、
人間特有の『心の発達』を解明しようという研究をされています。
 この講演でおもしろいエピソードがありました。

詳しいことは省略いたしますが、
実際に妊娠25週の胎児の4D映像でも、赤ちゃんが臍の緒を掴んだり、
手のひらで子宮の壁を押していることが観察されるそうです。

脚で蹴ったり腕があたったりするだけではないのが驚きですね!
また、指しゃぶりについても、手がたまたま口にあたったから反射的に口を開けたのではなく、
手が口に届く前に口が開いていることもあるそうです。
このような胎児の行動は、胎児期から赤ちゃんが『外の世界』を学び、
『自身の体』を学んでいると解釈されます。
 
このようなお話をうかがって、私は、「意志的なものではないだろうけど、
自分自身と外の世界に対する開かれた感覚が胎児期の赤ちゃんに宿っている」と、
改めて感じました。

また、発達心理学が出生前段階での研究に入っていることにも驚きでした。
いったい私たちはいつから『こころ』を持ち始めるのでしょうね?

今後、発達心理学や脳科学やいろいろな方面から多くの研究がなされていきます。
ヒトの心の発達と体の発達が、どう関わって成長していくのかがわかっていくことで、
その発達を邪魔しないような関わり方、
さらに発達を促すような関わり方が、明らかになっていくのだと思います。
これまで経験的にわかっていたことが科学的にもわかり、
そして、病気のお子さんとご家族への育児支援・療育支援へと繋がっていくのだと感じた講演でした。

遺伝カウンセラー 松田圭子

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