英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第20回 日本IVF学会学術集会

  • 2種類のSingle mediumを用いた胚培養成績の比較検討
  • 2017年9月30日(土)~10月1日(日) ホテルメトロポリタン仙台
  • 第20回 日本IVF学会学術集会
  • 阿部礼奈、角本知世、古橋孝祐、辻優大、岩﨑利郎、伊藤宏一、水澤友利、松本由紀子、

    苔口昭次、塩谷雅英

【目的】

ムコ多糖類であるヒアルロン酸を培養液に添加することで胚着床率の向上が報告されているが、胚発生そのものに促進効果があるかについてはいまだ十分な知見が無い。そこで今回、ヒアルロン酸含有を特徴とするOrigio社のSAGE 1-Stepと、ヒアルロン酸を含有しない従来の培養液の培養成績を比較検討したので報告する。

 

【方法】

2016年11月から2017年2月に当院で採卵を行い、受精判定時に2PNが4個以上得られた195症例(2PN=1317個)を対象とした。得られた2PNを受精判定以降Origio社のSAGE 1-Step とLife Global社のglobal (1%HSA)の 2種類の培養液にランダムに分けて培養し、分割率、分割期良好胚率、胚盤胞発生率、良好胚盤胞率を検討した。

 

【結果】

SAGE 1-Step群(2PN=655個)とglobal群(2PN=662個)の分割率(98.6% vs 97.7%)、分割期良好胚率(52.6% vs 53.0%)、および胚盤胞発生率(53.9% vs 50.1%)では両群間に差は見られなかったが、継続培養胚当たりの良好胚盤胞率(26.7% vs 19.9%)と、胚盤胞当たりの良好胚盤胞率(49.5% vs 39.8%)はSAGE 1-Step群で有意に高くなった(P<0.05)。

 

【結論】

ヒアルロン酸は、卵胞液、卵管分泌液そして子宮腔液にも存在することが報告されていることから、培養液に添加することでより自然に近い環境で胚を培養できる可能性がある。本検討において、ヒアルロン酸を含有するSAGE 1-Stepは、胚盤胞発生率には差がないものの、良好胚盤胞率を向上させることが示唆された。ヒアルロン酸は粘性を有し、細胞に対して物理的保護作用を持っていることがその理由の一つと推測される。今後、培養液に添加されたヒアルロン酸の効果メカニズムについての詳細な解析が必要と考える。

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