英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第59回 日本卵子学会学術集会

  • 二種類の培養器における培養成績の検討
  • 2018年5月26日(土)~27日(日) 大宮ソニックシティ
  • 第59回 日本卵子学会学術集会
  • 向井美紗、魚住卓也、山上一樹、古橋孝祐、辻優大、岩﨑利郎、伊藤宏一、水澤友利、

    松本由紀子、苔口昭次、塩谷雅英

【目的】

無加湿型培養器は加湿型に比較してカビなどの菌類の発生が少なく、維持管理が容易であることから普及が期待されている。しかしながら、機能的に加湿型培養器に比べて無加湿型培養器では、培養液中の浸透圧が上昇することが知られており、その浸透圧の上昇が培養成績に及ぼす影響について、検討された報告は少ない。そこで本検討では、加湿型(以下M群)および無加湿型(以下D群)培養器を用いて培養成績の比較、ならびに経日的な浸透圧計測を行うことで、無加湿型培養器の有用性を評価した。

 

【方法】

検討①:2017年4月から7月に当院で採卵を行い、受精判定時に2PNが4個以上得られた73症例(2PN=533個)を検討対象とした。得られた2PN胚は、M群およびD群の培養器にランダムに分配し、培養成績 (分割率、分割期良好胚率、胚盤胞発生率、良好胚盤胞率)の比較を行った。

検討②: 2群の培養液の浸透圧を、蒸気圧法測定器にてそれぞれ培養開始0日目から4日目まで経日的計測を行った。なお、本検討では培養開始2日目に培養液交換を実施するため、検討②は培養開始2日目から6日目の期間に該当した。

 

【結果】

検討①:M群(2PN=268個)とD群(2PN=265個)の間に分割率(96.3% vs 98.1%)、分割期良好胚(50.4% vs 49.6%)、継続培養胚あたりの胚盤胞発生率(55.1% vs 57.2%)および胚盤胞当たりの良好胚盤胞率(48.2% vs 52.9%)の差はなかった。

検討②:M群の浸透圧は計測開始日から4日目まで、それぞれ261.0、257.2、260.5、265.7、257.3mmol/kg、D群ではそれぞれ270.8、262.3、265.0、277.7、281.5mmol/kgであった。

 

【考察】

M群に比べてD群では浸透圧が緩やかに上昇したが、培養成績に影響しなかった。これらの結果から、胚培養において無加湿型培養器は浸透圧を上昇させるものの加湿型培養器と有用性に差がないことが示唆された。

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