英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第27回 日本受精着床学会総会・学術講演会

  • ICSI施行後3前核が見られた胚のDay3割球における染色体倍数性の解析
  • 平成21年8月6日~8月7日 国立京都国際会館
  • 第27回 日本受精着床学会総会・学術講演会
  • 水田真平、後藤 栄、橋本洋美、黒田泰史、松本由紀子、松永雅美、梅影秀史、苔口昭次、棚田省三、塩谷雅英


    英ウィメンズクリニック

【発表の概要】

【目的】ICSI施行後の受精判定の際に前核を3個認める胚(以下ICSI 3PN胚)がある。ICSI 3PN胚の原因として極体(PB)放出不全が多いと考えられ、この場合は染色体の倍数性異常をきたすことになるので移植の対象にできない。他にICSI 3PN胚の原因として核膜や細胞骨格の異常が考えられる。この場合には染色体数は正常である可能性もある。そこで今回、ICSI 3PN胚の染色体解析を行い、PB数別、cell数別に比較検討を行った。

【方法】ICSI施行後約18時間後に3前核が確認され、廃棄する胚において、患者の同意が得られたDay3胚19個を対象とした。解析はFISH法にて行い、probeにはVysis社のCEP 18/X/Yを用いた。

【結果】PB数別の染色体の倍数性の検討では、1PB胚では3nが28.6%(2/7)、3nを含むモザイクが28.6%(2/7)、無秩序なモザイクが28.6%(2/7)で、2nが14.3%(1/7)であった。2PB胚では、3nが50.0%(5/10)、3nを含むモザイクが20.0%(2/10)、無秩序なモザイクが20.0%(2/10)で、2nが10.0%(1/10)であった。PB不明胚は100%(2/2) 3nであった。cell数別の染色体の倍数性の検討では、2-4cellの胚では3nが66.6%(6/9)、3nを含むモザイクが22.2%(2/9)、無秩序なモザイクが11.1%(1/9)で、2nは認められなかった。5-7cellの胚では3nが42.9%(3/7)、無秩序なモザイクが42.9%(3/7)で、2nが14.3%(1/7)であった。8cell以上の胚では3nを含むモザイクが66.7%(2/3)、2nが33.3(1/3)であった。2nであった2個の胚はそれぞれ、1PB 8cellと2PB 7cellであった。

【考察】ICSI 3PN胚の多くが倍数性異常胚であったが、2n胚も2個認められた。このことより、ICSI 3PN胚の中には正常に発生する胚が含まれている可能性が示唆された。PB数は2n胚を予測する上で指標にはならなかったが、発生速度の早い胚に2n胚が認められる傾向があった。これらのことより、発生速度は判断基準の一つになり得る可能性が示唆された。

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