診療・治療
【発表の概要】
【目的】われわれはこれまでに、マウスを用いて、胚が積極的に子宮内膜に働きかけて子宮内膜の胚受容能を高めることを in vivo および in vitroで明らかにしてきた。これは着床前の、胚による、胚受容に向けた子宮内膜分化であり、これを embryo-primingとして新しい概念を構築した。これの臨床応用として2step embryo transfer(2段階法)を考案し、その有用性を従来法と比較検討した。
【方法】2段階法はIVF-ETの胚移植において採卵後2日目にembryo-primingのための胚を2個移植し、その他の胚はさらに培養を続け、5日目に胞胚を1個移植するものである。従来法では受精後2日目に3個の胚を子宮腔内に移植した。IVF-ET施行症例のうち受精後2日目に2細胞期以上の胚を4個以上有するものを2段階法適応症例とした。1999年6月~2000年9月においてインフォームドコンセントが得られた17症例(18周期)に対して2段階法を行い、2段階法施行以前の1998年4月~1999年5月において2段階法適応基準を満たした8症例10周期と比較した。胚培養には受精後2日目までは10%SSS添加PIメディウムを用い、3日目以降は10%SSS添加ブラストシストメディウムを用いた。
【成績】臨床妊娠率は2段階法、従来法でそれぞれ胚移植あたり77.8%(14/18)、40%(4/10)であり、移植胚あたり着床率はそれぞれ33.3%、13.3%であり、2段階法ひおいて有意に高い成績を得ることができた。
【結論】2段階法は高い妊娠率を得ることができる有効な胚移植法であることが示唆された。