英ウィメンズクリニック

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研究開発・学会発表

診療・治療

運動精子選別装置「ミグリス」と密度勾配遠心分離法における妊娠成績の比較

  • 第65回 日本卵子学会
  • 2024/5/18~19 神戸国際会議場
  • 運動精子選別装置「ミグリス」と密度勾配遠心分離法における妊娠成績の比較
  • 野村瑠莉・岸加奈子・鈴木理恵・籠橋茜・松浦まき・中居由稀・山上一樹・古橋孝祐・江夏徳寿・岡本恵理・苔口昭次・塩谷雅英  

目的

精子調整で用いられる密度勾配遠心分離法 (DGC) は精子に対する物理的ダメージやDNA損傷率(DFI)の増加が懸念されている。過去当院では、遠心分離を行わず運動良好精子を選別する装置「ミグリス」 (株式会社メニコン) の使用により、 DFIがDGCと比較し有意に減少することを報告した(鈴木ら, 2021)。本検討ではミグリスによる妊娠成績への影響について後方視的に検討を行った。

方法

2020年から2022年に単一胚盤胞移植を行った症例を対象とした。採卵時の精子調整法によりDGC群(2380周期)とミグリス群(104周期)に分け、臨床妊娠率、出産率、出生児性比について比較検討した。両群間において平均ART回数(1.8±1.7回、2.3±2.0回)はミグリス群が有意に多かった(p<0.01)。出生児性比を比較するにあたり2021年の日本の出生児性比を基準(基準値)とした。出生児性比は女児を1.0とした時の男児の比率で示した。

結果

DGC群、ミグリス群の臨床妊娠率 (36.8%、40.4%)、出産率 (28.3%、28.8%) に有意差は認めなかった。また、基準値は1.05(男児415,903人、女児395,719人)であり、 DGC群は1.01 (343人、340人)、ミグリス群は2.00 (20人、10人)であった。ミグリス群において基準値、DGC群と比較し男児が多い傾向にあった(p=0.09、P=0.08)。

考察

ART回数が有意に多いにも拘わらず、両群間の妊娠成績に有意差を認めなかった。この結果は、ミグリスにより精子のDFIが減少したことが原因と考えた。出生児性比は、基準値およびDGC群と比較してミグリス群で高い傾向にあった。Y染色体精子よりもX染色体精子の頭部の密度が高いこと(Cui and Matthews, 1993)やY染色体精子の前進速度が速いこと(Ericsson et al., 1973)から、ミグリスを用いた精子調整ではY染色体を含む精子が選別されやすい可能性が示唆された。

 

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