英ウィメンズクリニック

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研究開発・学会発表

診療・治療

運動精子選別装置「ミグリス」と密度勾配遠心分離法における妊娠成績の比較

  • 第27回 日本IVF学会
  • 2024/10/5~6 京王プラザホテル
  • 運動精子選別装置「ミグリス」と密度勾配遠心分離法における妊娠成績の比較
  • 野村瑠莉・岸加奈子・鈴木理恵・籠橋茜・松浦まき・中居由稀・古橋孝祐・江夏徳寿・岡本恵理・苔口昭次・塩谷雅英  

【目的】

精子調整で用いられる密度勾配遠心分離法(DGC)は精子に対する物理的ダメージやDNA fragmentation Index (DFI)の増加が懸念されている。過去当院で行った検討では、遠心分離を行わず運動良好精子を選別する装置「ミグリス」(株式会社メニコン) の使用により、DGCと比較してDFIが有意に低下することを報告した(鈴木ら, 2021)。そこで本検討では、ミグリスによる妊娠成績への影響について後方視的に検討を行った。

【方法】

2020年から2022年に単一胚盤胞移植を行った症例を対象とした。採卵時の精子調整法によりDGC群(2380周期)およびミグリス群(104周期)に分け、臨床妊娠率、流産率及び出生児性比について比較検討した。両群間において採卵時年齢(DGC群35.9±4.1歳 vs. ミグリス群35.6±4.0歳) に有意な差は認めなかったが、平均ART回数(DGC群1.8±1.7回vs. ミグリス群2.3±2.0回)は、ミグリス群が有意に多かった(p<0.01)。有意差検定にはχ2検定を用いた。出生児性比を比較するにあたり2021年の日本の出生児性比を基準値とした。また、出生児性比は女児を1.0とした時の男児の比率で示した。

【成績】

臨床妊娠率(DGC群36.8% vs. ミグリス群40.4%)、流産率(DGC群22.8% vs. ミグリス群28.6%) に有意な差は認めなかった。2021年の日本の出生児性比は1.1(男児415,903人 vs. 女児395,719人)であり、DGC群は1.0(男児343人 vs. 女児340人)、ミグリス群は2.0(男児20人 vs. 女児10人)であった。ミグリス群において、日本の出生児性比およびDGC群と比べ有意な差はないものの男児が多い傾向にあった(p=0.09、p=0.08)。

【結論】

DGC群とミグリス群を比較したところ、ミグリス群のART回数が有意に多いにもかかわらず、両群間の妊娠成績に有意差を認めなかった。当院では移植胚が得られない症例や移植の反復不成功症例に対して、精子へのダメージを軽減することを目的として、ミグリスでの調整を推奨している。そのためミグリスにより精子のDFIが低下し、妊娠率が向上したことが考えられた。出生児性比は、日本の出生児性比およびDGC群と比較してミグリス群で高い傾向にあった。Y染色体精子よりもX染色体精子の頭部の密度が高いこと(Cui and Matthews, 1993)やY染色体精子の前進速度が速いこと(Ericsson et al. 1973)が知られている。Y染色体精子の方がより早く遠くまで進むことが可能であり、ミグリスの精子回収部分により多く集まるのではないかと考えられた。このことから、ミグリスを用いた精子調整ではY染色体を含む精子が選別されやすい可能性が示唆された。

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