診療・治療
【目的】
無精子症に対する治療として、精巣内精子回収法(TESE)は広く行われており、結果についても多くの報告を認める。一方で、精巣上体精子回収法(MESA)を実施する施設は限られており、結果に関する報告は多くない。今回、我々はMESAの有効性について後方視的検討を行ったので報告する。
【対象・方法】
2011年1月から2023年12月において、当院にて閉塞性無精子症(OA)およびcryptozoospermiaのMESA症例55周期 とSimple-TESE症例338周期とMD-TESE症例87周期より得られた精子を用いて顕微授精を実施した患者を対象とした。MESA、TESEを同時に行った症例は、より良好な運動精子を認めた方を使用した。検討項目は、受精率、分割率、胚盤胞発生率、良好胚盤胞率とし、良好胚盤胞はGardner分類のG3BB以上とした。
【結果】
MESA群、Simple-TESE群、MD-TESE群の女性年齢はそれぞれ36.3±5.5歳、36.2±5.0歳、35.5±4.0歳であった。術前のFSHはそれぞれ10.0±4.2mIU/ml、9.0±3.9mIU/ml、21.0±4.2mIU/mlであり、Tは452±26.4ng/dl、412±28.6 ng/dl、404±10 4 ng/dlであった。培養成績はそれぞれ正常受精(2PN)率72.3%(253/350)、 57.3%(1341/2342)、48.4%(248/512)、分割率91.8%(256/279)、87.4%(1522/1775)、83.8%(284/339)、胚盤胞発生率44.4%(100/225)、32.0% (404/1264)、27.2%(61/224)、良好胚盤胞率51.0%(51/100)、36.4%(147/404)、39.3%(24/61)となり、2PN率、分割率、胚盤胞発生率においてMESA群が有意に高かった。
【考察】
MESAでは運動能が高く、より成熟した精子を回収できることから、有意に高い結果が得られた可能性が考えられる。OA症例やcryptozoospermia症例においては、MESAも並行して施行することが、培養成績の向上に有効であると示された。