診療・治療
【目的】
コンバインドテスト(OSCAR検査)は、妊娠初期に実施される非確定的な出生前検査であり、母体年齢、NT計測、血清マーカーに基づいて、胎児が21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーをもつ可能性を評価する。評価結果には一定のカットオフ値が設けられており、母体年齢が高い場合には事前確率より低い場合でも陽性となることがあり、逆に若年妊婦では事前確率より高い場合でも陰性となることがある。本研究ではこの構造的特性に着目し、評価と年齢に基づく頻度の乖離がもたらす課題と、遺伝カウンセリングの必要性を検討した。
【方法】
2018年10月〜2024年10月末に当院でOSCAR検査を実施した400例を対象に、母体年齢の影響が考えられた13例(陽性だが事前確率より低かった5例、陰性だが高かった8例)を抽出し、妊娠転帰を含めて後方視的に検討した。本研究は当院倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【結果】
検査全体の陽性率は5.5%(22/400)であった。陽性22例中2例は転帰不明であり、残る20例中2例の胎児に21トリソミーが確認された。転帰判明例に限った陽性的中率は10.0%(2/20)であった。母体年齢の影響が考えられた13例に含まれる陽性5例および陰性8例では、出生児に染色体疾患を含む先天性疾患は確認されなかった。
【考察】
OSCAR検査の判定は、カットオフ値の存在と母体年齢の影響により、検査結果の解釈や妊婦の意思決定に混乱を招く場合がある。NIPTでは検査前後の遺伝カウンセリングが義務化され施設認定制度もあるが、OSCAR検査をはじめとしたその他の出生前検査には整備された体制が存在しない。正確な情報提供と意思決定支援のため、NIPT以外の出生前検査においても検査前後の遺伝カウンセリング体制の整備が求められる。